作物園芸システムコース 農業情報システム学研究室

農学部・大学院農学研究科

作物園芸システムコース・教育研究分野

農業情報システム学研究室

農業情報システム学研究室について

農業情報システム学研究室では、細胞から地球環境のレベルまでの様々な時空間スケールの対象について、ICTとその関連技術(3D、バイオイメージング、ドローン、リモートセンシング、GIS、人工知能、機械学習、統計的手法、モデリング、Web等)に関する研究を行っています。具体的には、植物機能の解明と診断、植物工場や精密農業、ポストハーベストなどのためのスマート農業技術、地域活性化、地球・自然環境保全等への利用などを課題として取り組んでいます。
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研究対象:細胞から地球環境のレベルまで

農業情報システム学研究室の研究のイメージ図
細胞から地球環境のレベルまでの研究成果の例
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クロロフィル蛍光による光合成機能診断

クロロフィル蛍光を計測することにより、目では見えない光合成反応系の情報を得ることができます。右図は、根に除草剤を散布した時のカラー画像とクロロフィル蛍光画像を比較したものです。目では見えない根から葉への除草剤の移動と葉の光合成障害を時空間的に解析できます。研究室では、細胞レベルから地球規模のレベルまでの様々なクロロフィル蛍光についての研究を行っており、バイオ技術や、スマート農業、環境影響評価などへ利用しています。

クロロフィル蛍光による光合成機能診断の例

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スマートグリーンハウスにおける生育モニタリングシステムの開発

研究室では、ハウス内で生育している園芸作物の生育モニタリングのための各種リモートイメージングシステムの開発を行っています。右上の画像は、附属農場のスマートグリーンハウス内で生育しているトマトのWebカメラとドローンを用いた生育モニタリングの例です。また、右下は、ハウス内トマトの3次元計測の例です。生育モニタリングを行うことにより、作物の生育状態を見える化するとともに、栽培管理の最適化を目指したスマート農業技術の開発を行っています。また、収穫物の品質評価技術の開発を行います。
Webカメラとドローンによる
生育モニタリング
トマトの3次元計測の例
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圃場を対象としたスマート農業の研究

研究室では、ドローンや種々のリモートセンシング技術を用いたスマート農業の研究を行っています。右上の写真は、ドローンを用いたキャベツの生育診断の例です。また、右下は、ドローンにより計測された画像から作成した圃場の3次元地図の例です。種々な画像センサを用いることにより、人間の目では認識できない生育異常や、広域での生育診断などにより、圃場の最適管理と収穫物の品質管理などのための新しいスマート農業技術の開発を行っています。
ドローン画像による
キャベツの生育診断
ドローン画像から作成した圃場の3次元地図
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分光イメージングを用いた果実や野菜の品質診断

研究室では、スマート農業技術の開発の一環として、分光イメージングを用いた果実や野菜の品質評価技術の開発を行っています。下の画像は、分光蛍光イメージングを用いた果実の診断例です。カラー画像では認識できない品質の違いを分光蛍光画像により認識することができます。
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果樹や森林のリモートセンシング

研究室では、果樹や樹木の生育診断や森林管理、環境影響評価などのためのリモートセンシングに関する研究を行っています。右上の画像は、沼田市にある千葉大学の森林環境果樹農場のリンゴの木のドローン画像の例です。この農場には、多くの品種のリンゴと西洋ナシが栽培されており、ドローンを利用した果樹の生育診断の共同研究を、千葉大学との連携協定に基づいて行っています。右下の画像は、航空機ライダーによる谷間の森林や地形の3次元計測の例です。
リンゴの木のドローン画像の例
森林や地形の3次元計測の例
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地球・自然環境保全への地理空間情報の利用

衛星リモートセンシングやGISなどの地理空間情報を利用し、それらデータの解析を通じて、地球環境や地域環境の状況を認識し、環境問題の対応策や環境保全に活かすことができます。
右上の図は、高頻度で観測されている衛星データを解析することによって、植生の成長期間の始まりを地域レベルにて推定した例です。山岳域などの標高の違いによって、春の訪れの時期が異なることが分かります。このような解析を、長期間において継続することによって、地球温暖化が植生に及ぼす影響を地域レベルにて検出することができます。
右下の図は、衛星データと地上で観測された大気汚染物質(オゾン)の濃度データを組み合わせ、データ解析をおこなうことによって、オゾンが農作物や森林などの成長に及ぼす影響を広域で評価した例です。
高頻度衛星観測リモートセンシングデータの解析例 (植生を対象とした春の訪れの空間的差異)
衛星データとGISによる関東地域の大気汚染(オゾン)影響の評価
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卒業研究のテーマ例

  • 衛星画像による地球・地域環境モニタリングの研究
  • 地理空間情報を用いた地域活性化の研究
  • 人工知能を用いたスマート農業に関する研究
  • ドローンリモートセンシングに関する研究
  • 光合成機能イメージングに関する研究
  • 作物障害の多重分光画像診断に関する研究
  • 3次元植物フェノタイピングに関する研究
  • 画像情報を用いたポストハーベスト研究
  • ICTを用いた生物多様性・生態系保全に関する研究
  • 広報手段としての情報ツール(Webサイト)の活用
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様々な時空間スケールの対象における、ICTとその関連技術の応用例

農業情報システム学研究室の各年度の卒業生の卒論テーマ

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2022年度

  • 井野正純「トマトにおける近赤外分光法とBrix計の糖度値の比較」
  • 神沢樹「グリーンハウス内キュウリの3D計測法の検討とその精度検証〜画像解像度ごとの3Dモデルの比較」
  • 木之内裕紀 「UAVを用いた中山間地リンゴ園の3次元モデルの構築~点群構築における各種パラメータの影響と精度評価~」
  • 椚瀬ななみ 「UAVを用いた中山間地リンゴ園の3次元モデルの構築~地形図および植栽図の作成と精度評価~」
  • 齋藤巽 「MODIS-GRVI時系列データによる常緑針葉樹林の植物季節の推定-2013年から2022年までの春季・夏季を対象として-」
  • 髙橋敬亮「グリーンハウスのキュウリとトマトの水ポテンシャル比較」
  • 立石忠之「携帯型ポロメーターを用いたキュウリ葉の気孔コンダクタンスの日変化の測定」
  • 新田和也 「キュウリ葉を用いた携帯型ポロメーターの校正法と測定精度の検証」
  • 野坂公平 「サイクロメーターの特性と校正法について」
  • 渡邊康太「グリーンハウス内キュウリの3D計測法の検討とその精度検証 ~ハンディ型3DスキャナとSfM法による3Dモデルの比較~」
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2023年度

  • 青木大知「MODIS-GRVI時系列データによる常緑針葉樹林の植物季節の推定および気温条件との統計解析 -2013年から2023年の春季・夏季を対象として-」
  • 赤穗瑞季「温室ロックウール栽培におけるミニトマトの日当たりと熟度が糖度に及ぼす影響」
  • 小川愛夏「ロックウール栽培ミニパプリカの果実の特性」
  • 狩野絢加「UAVを用いた中山間地リンゴ園の3次元構築〜トータルステーションによる測量法の検証〜」
  • 近藤一真「一眼レフカメラを用いたグリーンハウス内キュウリの3D計測法の検討とその精度検証〜3Dモデリングによる固定物と茎の計測とその精度検証〜」
  • 佐藤 優「Sentinel-2衛星画像を用いた榛名山の南麓における竹林の分布推定と精度評価」
  • 志村春紀「ロックウール栽培ミニトマトの非破壊計測と糖度に影響する要因について」
  • 鈴木竜久「温室内キュウリのUAVを用いた3次元構築」
  • 関根崇希「温室ロックウール栽培メロンの果実特性について」
  • 並木大智「一眼レフカメラを用いたグリーンハウス内キュウリの3D計測法の検討とその精度検証〜3Dモデリングによる葉身長と葉幅長の計測とその精度検証〜」
  • 丸山晃生「サイクロメーター(PSYPRO,WESCOR社製)の校正法と精度の検証」
  • 茂木健将「UAVを用いた中山間地リンゴ園の3次元モデルの構築〜植栽地図の作成と精度評価〜」