橋田助教の研究成果がPlant, Cell & Environment誌に掲載されました。Plant, Cell & Environment誌は植物の環境応答に関する研究を扱う著名な国際学術誌です。また、研究に関する写真がBack Cover(裏表紙)に選ばれました。この写真には、卒業研究を行っている4年生が撮ったものを利用しています。
植物科学の研究では、人工気象器や培養庫とよばれる人工的に光や温度などを制御した環境(制御環境)で植物を栽培します。このような研究で得られた成果は、実際に作物生産が行われる野外における栽培や品種改良に役立ちます。しかし、制御環境で得られた研究成果が野外では当てはまらない例が知られており、植物科学における課題となっています。本研究では、野外と実験室における植物の違いの一端を、分単位で光強度と温湿度の制御が可能なSmartGC(写真)という人工気象器と、全遺伝子がどれだけ働いているかを測定するトランスクリプトーム解析から明らかにしました。野外と実験室の研究をつなぐ研究として、本研究は植物科学の研究をする人に広く役立つものと考えています。
本研究は、龍谷大学・慶應義塾大学教授の永野惇教授らとの共同研究の成果です。現在4年生が卒業研究でこの実験の続きとして、野外と制御環境におけるイネの生育の差異の比較に取り組んでいます。どのような結果が得られるか楽しみです。
掲載情報
論文タイトル:Fillable and Unfillable Gaps in Plant Transcriptome under Field and Controlled Environments(野外と制御環境における植物のトランスクリプトームの埋められる/埋められないギャップ)
雑誌 :Plant Cell & Environment (45(8): 2410-2427)
URL :https://doi.org/10.1111/pce.14367(論文本体)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pce.14398(Back Cover Image)